告白
昨夜は白ワインを3杯ほど。
安価なチリ産のシャルドネ。お値段は600円弱。キャンプ場の近くのサンエーではこれしか手に入らなかった。
一杯目は舌に馴染まず、苦い味。
それでも手持ち無沙汰でちびちびと飲んだ。ほわーっと酔いがまわる暑い夜。
2杯目はなかなか美味しく感じた。ドラマもなんだか佳境にはいって来たぞ。心体ほぐれ声を出して笑い、感情移入して一心同体うなづいたり頭を振ったり。わたくし参加型視聴者に変身。3杯目はぐびぐびするすると入っていった。痺れる頭で、ああ美味しい。ドラマを見終わり、スマホチェック。
facebookを開いた途端に出てきたのが、2012年にCALEND-OKINAWAに投稿した「喜びを着る」という私の記事がアップされていたのだ。
人生の変革期にいる知人が投稿したもので、その内容は私が2011年にショップを始めたきっかけやエピソード、それから衣服に対する思いや人生哲学等が静かに語られている。また新たな変化の時を迎えている今、この記事を読むことに不思議な必然性を感じた。推敲を重ねたのであろうシンプルな言葉はやさしく胸に沁みてきた。過去の自分から今の自分へとメッセージが届いた不思議な瞬間。驚きと感動で、じわっと水っぽく視界が揺れる。
丁度その時、びゅううざざざっと突風が吹き、間髪を入れずにどどーんと雷の音が鳴り響いた。外を眺めると、バタバタバタッと大きな雨粒が降ってきたではないか。なんてドラマティックな演出なんだろう。青黒い雲が夜景に流れ込み、街の灯がちらちらと揺れている。来たよ。そう感じた。
テラスに続くサッシを開け放って、私は雨の中で身体と両腕を空に差し出した。なんだか全てが力強く一つに繋がっているような夜。その中心に自分がいる気がして高揚した。全身に雨よ打て、と夜空を見上げる。現在も過去も未来も今ここで一つになった。そんな気分。びしょ濡れになったっていい。むしろそうなりたい。私はいろいろ酔っていた。
ありがとう、2012年の私。くるっと回って夜空を見上げる。雨が気持ちよく肌を濡らす。くるっくるっ、くるっくるっと回転した後のけ反ってもう一度空を見上げた。もしかしたらもう一度雷が轟くだろう、雨足は力を増すだろう。そんな期待に反して空から降る雨は小粒でまばらな小雨に変わっていた。尻すぼまりな短い嵐は海へと去った後だった。
なあんだ。私はイナバウアーをやめ体制を整えると、濡れた顔を拭いすたすたとテラスから室内に戻る。
安いワインだったからだろうか?酔いは今宵の雨のように短かった。酔い続けるのにも、集中力と持久力が必要だ。ふふっと笑って現実に戻る。身体もそんなに濡れてはいない。テラス劇場での公演は1分未満で幕を閉じたのだった。
顔を洗い、頭を覚ましてもう一度2012年の頃の私に向き合う。当時の空気を感じながら記事を読み直してみた。その後の夜は長かった。