メスティアの犬
ウシュグリに行く前に滞在したメスティア村は、コーカサスの山の眺望が素晴らしい穏やかな村。ネットで見たコーカシアンシープドッグに魅せられていた私は、この村で初めてその血を感じられる犬に出会った。
一見何気ない景色に溶け込んでいる犬の姿。しかし軽トラックとの対比をよ〜く見て欲しい。走ると地面が揺れるはず!きっと体重は60キロを下るまい。
ちっちと舌を鳴らして合図をした私をチラ見した後のしのしと歩き、どすっと砂塵を上げて横になった。親しげに合図は送ったものの距離は縮めることができず、遠くから眺めた。
コーカシアンシープドッグは喧嘩したときに引き裂かれることがないように、生まれたときに耳を小さく切り落とす習慣があるらしい。この子の耳はその血が流れている証拠。主に聞いてみたら、純粋ではないけれど血は流れているのだ、と誇らしげ。とても穏やかで優しいんだよ、けれどとても強いんだ。そう言って嬉しそうに胸を張った。主と犬はやはり似ている。そんな風貌の胸板の厚い主。
距離を縮められぬまま遠くから眺めたおおきなわんこくん。首のあたりをもふもふしたかった。
この旅の間中自由に歩き回る多くの犬たちに触れた。
その中で一番大きな子。
その次に大きかったのはこの子だよ。
耳は生まれたまんまの垂れ耳でした。