沖縄タクシー紀行「シー ハー ハー」
今朝の運転手さんは沖縄のシャイなお兄さん。年齢は60代後半くらいかしら。
この感じの男の人は親戚に一人はいる感じ。賑やかな人たちの話を静かに聞きながら、ちびちび泡盛。目尻には穏やかな笑い皺。孫たちに好かれていて、親戚からの信頼も厚い。しかし、三線を握ると、短く太い指でジャンジャンと弦をかき鳴らし、肚の座った太い声で民謡をうたう。周りはしんと聴き惚れる。
がーじゅー(頑固)で、なかなかの保守派。沖縄の具沢山味噌汁にマーガリンをどばっといれて、汁まで全部飲み干す。酒は泡盛。名前はきっと銘苅(めかる)さん。いや、本当は違うけど。それにこれ妄想。
そんなことを後部座席に座って勝手にスキャンしていると、運転席からガス漏れのような音がする。
?、耳をそばだてていると、やっぱり時々「しーっ」と聴こえてくるではないか。聞き漏らすまいと観察していたらどうやら運転手さんの口から出てる音だった。
角を曲がるカーブで再度「しー」。かすかに語尾にRを感じた。
もしかして英語で何かつぶやいていた?「she her her」あの発音と完全一致。
信号待ちで「しぃ」。
次の角で「はぁ」。
どうした運転手さん?心の病の初期のブツブツ独り言なの?後ろ斜めからその横顔をしばし凝視。そして気がついた。ははあ、なるほど、運転手さん歌ってるんだ。小声で。
聴くべし、訊くべし。で。
「あのー、何か歌っていましたよね?いい感じなんですけど誰の歌ですか?」
「え?歌?き、聴こえたの?あいや、いつのまにか歌っていたんだねぇ。これはなんて言ったかな…『男の純情』って曲だけど誰が歌っていたかねぇ」
ググる。あらまあ、やくざな兄貴の純情小唄。ふふっ。
「男のいのちの 純情は
燃えてかがやく 金の星
夜の都の 大空に
曇る涙を 誰が知ろ
影はやくざに やつれても
訊いてくれるな この胸を
所詮 男の行く道は
なんで女が しるものか」藤山一郎
3番につづく
そして私の旅もつづく。私の旅、後で作詞してみよう。
今日はJALにて小松へひとっ飛び。加賀温泉へ参ります。
明日からしっかり働きまっせ。走りまっせ。ナイキのランニングシューズ買いましたとも。